すみません、タイトル、ライフネット岩瀬氏のブログをパクってます。笑
(注:旧題は「入社7日目の明日から気をつけた方がいいこと」でしたが、もはや1年経ってイミフだと思いますので改題しました。2015.4.1)

入社2日目の明日から試して欲しいこと


新たに社会人になった若者に向けて書かれたこの記事、プチ炎上してすったもんだしたせいで、結局何が本当に重要なことなのかよくわからなくなった若い人たちも多いと思うので、これから社会に出て活躍していくために大切な、本質的なポイントを2つ、ゴゴログ流に解説しましょう。
(ちなみに、転職したばかりの人、これから転職しようとする人にも共通するハナシです)


その1~「信頼残高」という考え方

岩瀬氏のブログでは、新社会人へのススメとして、「毎朝、定時より30分前にきっちりした身なりで出社し、新聞を読んでなさい」と書かれています。見方によってはオールドスタイルなこうした社会人のあるべき像が、最初の炎上の対象になったわけですが、本当に重要なポイントは、その後に続いていた部分にあります。

簡単なことだが、もしこれを1年間、1日も欠かさず続けることができれば、1年後には皆さんの社内における信頼は確実に高まっていることだろう。

 昨年も同じ趣旨のことを書いたが、まず一年目に目指すべきは、社内で信頼される人間になることだ。きっちり仕事をする人だと信頼されている人には、多くの仕事が回ってきて、その分、成長も早くなる。
 
朝30分早く出社することや、毎朝欠かさず新聞を読むこと自体が重要なのではなく、いかにして組織内での自分に対する信用度を高めるか、これこそが新しく社会人になった人達が気をつけるべきことです。

聞いたことがある人も多いかと思いますが、「信頼残高」という考え方があります。もしあなたが何か良いアイディアがあって、新しい取り組みを始めたいと周囲に働きかけた時、単にアイディアが良ければ受け入れられて実現するかといえば、そう簡単でもありません。

ちょっとした改善提案くらいなら可能かもしれませんが、ヒト・カネ・時間といった何らかのリソースが必要な場合、そのアイディアに周囲や組織が乗ってくれるかどうかは、あなたの組織内での信頼度に大きく左右されます。信頼度が大きければ、ちょっと不安要素があるチャレンジでも認められる可能性が高くなりますが、信頼度が低ければ、本当にいいアイディアであっても、周囲は耳さえ傾けてくれない、ということも起こります。

あるいは、岩瀬氏のコメント通り、あるチャレンジングな(=失敗の可能性も大きい)重要なタスクを誰に任せるかを考える際、そうした仕事は信頼度の大きなメンバーに回されるわけです。そして、この信頼度というのは、あなたの地頭の良さやクリエイティビティというスキルではなく、日々の行動に対する「周囲からの見られ方」によって積み上げられていくもので、自分の信頼を「貯金」して、その残高をあげていくことが大切です。

残高が十分大きければ、最初のチャレンジングな仕事で仮に失敗して、少々残高が減ってもまたチャンスは巡ってきますし、成功すれば残高がさらに増えて、より大きな仕事がまわってくる。組織とは、そういうメカニズムで動いています。

中には「計算高く」動くことを潔くないと考える人も結構いるかと思いますが、少なくとも自分が気づかないうちに損をしない程度には、こうしたことを心をとめて日々の行動を振り返ることは決して悪くありません。


その2~組織風土との相性 (Cultural Fit)

さて、入社してしばらすると、少しは慣れてきて周囲の状況や会社の雰囲気も分かってくるでしょう。そうした中で、「毎朝、定時より30分前にきっちりした身なりで出社し、新聞を読むことが、会社的には好印象につながりそうなのは分かった。でも、ラフな格好でさっさと仕度し、出社前はスタバでギリギリまでネットで情報収集する方が絶対に効率だよな~」と、違和感を感じる人もいるでしょう。

学生の生活から会社に勤める生活へと大きく変化する中では、様々な違和感を感じることは当然です。しかし、それが環境変化によってもたらされる一時的な違和感なのか、組織と自分の相性=cultural fitからもたらされるものかをよく気をつけてみておくことは、「信頼残高」を積み上げることと同時に気をつけるべき(あるいはそれ以上に)大切なことです。

あなたには、あなた独自の価値観がある。そして、会社にもその会社固有の「風土」があります。組織風土というのは、中にいる人間でもなかなか明確に言語化できないのですが、その組織の価値観を反映してできあがっています。なので、当然、人間同士と同じように、あなたと会社の価値観が合わないこともあります。

このあたり、就職活動の中でしっかり見極められればいいですが、まあ大抵はムリですよね。入ってしばらくしてから、徐々に感じることが普通でしょう。岩瀬氏の冒頭のブログが、ある方面からは「社畜のススメ」みたいに見られたのは、こうしたcultural fitの多様性に関わらず、ある一つのスタイルが正しいこととして押し付けられたように感じられたからだと思われます。

しばらく働いていても、どうも会社で好まれる価値観と自分の価値観が合わないことはあります。自分の考え方を変えていくというのは、一つの方法です。あまり自分にこだわりすぎるよりも、違うものの見方・学び方を吸収して、視点や物事に取り組むスタイルを複数持てるようになることは、単なる知識を学ぶよりも、よっぽど人間的成長につながります。

しかし、どうしても折が合わないことも当然あります。そこを我慢して、会社では会社に合わせて生きていく・・まさに立派な「社畜」への道ですね。人間、自分が好まない事をやり続けることはできません。30分早く会社に行くとか、新聞を読み続けることは習慣化できるかもしれませんが、そうしたスタイルを好む風土・価値観が合わないのであれば、そうした組織の中で信頼残高を大きくしていくことは、多分ムリです。

そうした場合は、別の環境を探した方がいいでしょう。ただし、「会社が合わなくて1か月で辞めました」なんてのは、それこそ信頼残高が超マイナスからのスタートになるので、3年とは言わずとも、1年はしっかりと言われた通り働いて、周囲の先輩たちともよくコミュニケーションとってみて、会社の中身をしっかり見極めてから、cultural fitに問題がないか考えることをおススメします。
(転職を考えてる方にとっては、cultural fitはよりセンシティブな問題です。見た目の条件に惑わされることなく、しっかり見極めてきめましょう。)

さて、長々と書いてきましたが、以上はDrucker School留学時代に、HBSでも教鞭をとられていたSathe教授にならった内容がほぼそのままベースになっています。 というワケで、ゴゴの主観でも成功体験でもなく、むしろ価値あることを習っておきながら全く出来てない自分の姿に心痛むくらいのハナシなのですが、その分若い人にはきちんと考えてこれからの社会人生活を送ってほしいと思います。

ちなみに、「毎朝、定時より30分前にきっちりした身なりで出社し、新聞を読んでなさい」と言われて素直に実行し始めた方々、その習慣(と素直さ)は決して悪くはありませんが、その通りやったからといって本当に信頼残高が大きくなるかはその会社の風土次第なので、なんでも表面的に鵜呑みにせず、ちゃんと自分のアタマでやり方考えた方がいいですよ!
(少なくとも今さらそのままやってる新人の姿を自分が見かけたら、お前アホかwとツッコミます。)