ビットコインの件ですが、コメントで理解してないとの批判を重ねていただいたのと、結構世の中に広まっているようなので(コレとか、、日経さん大丈夫?)、せっかくだからと、このシステムの基礎になっているとのことである、中本哲史論文を見つけて読んでみました。

ビットコイン: P2P 電子マネーシステム

リンク開いていただければ分かりますが、いきなりマジ論文調です。。多分これだけで8割の人はもう読まないですね。

しかし、これくらいではへこたれません。取りあえず読んでみます。すると、すぐにコンピュータネットワーク用語の羅列。プルーフオブワークやらハッシュ値やらノードやら。ゴゴはこの手の専門家ではありません。ここで諦めるのか?

いや、まだ行けそうです。実は、インターネットが日本で普及し始めた1996年頃、体育会本部という一応大学とのつながりが深い組織にいるのをいいことに、学内のLAN回線に本部のMacを接続するなんてことをやった経験があります。(当時はいろんなプロトコルパラメータを手入力しないといけないので本当に面倒でした。。)

なので、プログラミングやら処理系はそんなにわからないけど、ノードがどうたらとか言ったネットワーク系(とデータベース系)の概念知識は少しあるんだぜ〜!意外だろ〜?

というわけで、全体を完全には理解できないものの、この論文の趣旨は、電子マネーにおいて致命的な欠陥になる二重使用の問題を、中央集権的な管理システムではなく、ネットワーク同士の自律的な働きにより解決することを狙いとしたものになっているということと、その仕組みの概念はそこそこ理解できます。

で、その方法論は少しややこしいので省きますが、二重使用を回避すると言う観点からは、キチンとした理屈になっているように思われます。(ちなみに、途中からは悪意の者がマネーデータを改ざんして不正使用することの難しさを、確率論の数式とそれをコード化した記述で立証しており、より読解難度を高めてます。)

さてさて、これは実はちゃんとしたシステムなのでは・・・?どこをどう読んだらいいんだ?危機一髪!?。。。しかーし、役人時代に難解な法律文書を読んでいた経験がここで活きるのです!

ゴゴが探しているのは、二重回避の信頼性の話ではありません。ビットコインが最初に生み出される、そのポイントでの仕組みです。いくら途中にゴチャゴチャ書いてようが、そこに惑わされずに必要とする部分を、全体の文章構造から素早く割り出して見つけるってのは、結構官僚の特殊技能かもしれません。

そして、それは、「6. インセンティブ」、というセクションに出てきました。。冒頭部分を引用してみましょう。
「慣例により、ブロック内の最初の取引は新しいコインを始める特別な取引とされ、そのコインはブロック作成者のものとなる。」

文章は、ひょっとして元が英文論文で訳がおかしいのかもしれませんが、非常に唐突感あふれる始まりです。これはこれで不自然ですが、それよりも、ここで突如生み出されたコインはいったい何か?ということです。

このコインを獲得するためのブロック作成作業というのが、先の二重使用回避のための鍵であり、コインが使用されるほどスタンプ(ブロック)が長くなって、それが不正使用されたものかどうかを検証することがよりむずかしくなっていくとされています。これによりコインが無尽蔵に生まれてくることを自律的に阻止しており、新しいコインの振り出しは、コイン流通と健全なシステム維持のための協力の対価である、という意味づけは理解できます。

しかし、このコインがうまれる最初は、だれも中央管理者がいないP2Pシステムから、一定のプログラムにより、まさにゼロから生まれてくるようにみえます。ここを見ると、やはりビットコインには通貨にとって必要なバックアセットがないとしか思えません。(逆に、円は日本国の徴税力を最終的なバックアセットとしています。)

もし、このブロックが拡大していくことそのものから、何らかの経済的メリットをビットコインシステム自身が受けることができるなら、それを将来担保としてコインを振り出すことは理論上可能かもしれません。しかし、管理者不在の単なるシステムがブロック全体から得られる経済メリットって、一体何なんでしょう?どこから提供されるのか?全くよく分かりません。。


こうして論文全体を見て見ると、高度な感じのネットワークセキュリティ理論と、リスク確率論の計算モデルと、システムを擬人化することによる貨幣創出の経済インセンティブモデルを巧みに組み合わせて、特定分野の専門家でも全体の整合性が見えないようにうまく作られたフェイクに感じられます。

仮にそうだとすると、結構長く使われていることからしても、芸術的な創作だといえるかもしれません。特に、ネットワークセキュリティ理論に限定すれば、ホンモノなのでしょう。しかし、やはり先にみたインセンティブのセクションは、どうも一段出来がズサンな感じがしてしまいます。

どこかゴゴの理解不足で間違っているのでしょうか?自分の解釈にこだわるつもりはなく、本当のことが分かる方が面白いタチなので、特にコイン創出のあたり、間違いあれば是非是非ご指摘ください。

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さて、ここからは論文をはなれての、ちなみにの話しです。

論文中には出てこないので良く分かりませんでしたが、他サイトの解説によるとビットコインは時間が立つほど新規産出量が少なくなり(新規ブロック開拓がむずかしくなるので)、いずれ全体流通量がアタマ打ちになる一方、使用ニーズが高まっていくことで、段々とコインの資産価値があがるのだ、との説明があります。

しかし、資産価値が上がると分かっているものを手放したい人はいないので、コインの価値があがってくると、どこかで流通量が減り、ニーズが減って行きます。悪貨が良貨を駆逐するのとおり、皆が胎蔵し始めれば、いずれビットコインは貨幣機能を失う(=貨幣として取り扱う店がほとんどなくなる)はずです。矛盾してますよね。そもそも、そのもの自体の価値が大きく変動するものは、貨幣に向かないのです。

世の中的にかなり関心が高まってきているようですし、そろそろ最後も近いかもですよ。。ビットコインが貨幣機能を失ったとき、残ったコインにはいくらの価値が残っているでしょうね。