ゴゴログ

ゴゴトモヒロがモノゴトの本質を考えるブログ

タグ:マクロ経済

今回は、分かってもらえるかは微妙ですが、かなり大胆な記事だと思います。。。マクロ経済論で「アタリマエ」として扱われていることに、経済学修士でもない素人が疑問を呈するという大胆なハナシです。

さてみなさん、国際収支の恒等式というものを聞いたことがありますでしょうか?
 経常収支(=貿易収支+投資収支)+資本収支+外貨準備増減(+誤差脱漏)=0
というやつです(知らない?)。本来的には、「恒等式」なので、二本線の「=」ではなく、三本線のイコールでつながれているはずですが、表記方法が分からないので普通のイコールのままにしておきます。

この「恒等式」というやつですが、ちょいと数学好きとして寄り道しますと、単なる「等式」とは違うのです。等式というのは、aとbとcを足したら、結果的にXでした、という起因(左辺)と結果(右辺)を示しているだけのものです。一方、恒等式というのは、a+b+cは常にXであり、a,b,c,とXは表裏一体な関係である、ということを言っています。(この違い伝わります?)

つまり、国際収支の話に戻って言えば、 
 経常収支+投資収支+外貨準備
が、状況に応じて-10になったり100になったりすることは絶対にない、ということを示しています。

さて、ここからが問題です。エコノミストや経済学者などの中には、国際収支は恒等式で成り立っているのだから、いくら貿易赤字が増大しようとも、国際収支は必ず最終的にはバランスして0になるものであって、「赤字」という字面だけで問題視することはナンセンスだ、という主張をする人がいます。 

確かに、貿易収支や経常収支をそれだけ見て「赤字」だから云々というのは、国際収支モデルを理解しない素人以前の議論と言えるでしょう。しかし一方で、「恒等式でバランスするのだから問題ない」という考え方について、ゴゴは大いなる疑問を呈します。

(ここは正直、その道の専門家でないので大いなる無知をさらしてしまうかもしれません。しかし、長年の疑問をつきつめても、この後にお話するように大概のマクロ経済学者は思考停止してんじゃないの?という結論にしかならないです。そういう意味で、マクロ経済の常識に反旗を翻して?大胆に真実の追求に以下チャレンジします。。本当の本当に分かってる人には当たり前のハナシかも知れませんが。。)

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例えば、製造業の競争力が落ちて輸出が伸びない、原発が止まって火力発電燃料を輸入しないといけなくなったなどといった理由での貿易収支の赤字拡大は、その背景は決して好ましいものではありません。そして、逆に黒字になっている投資収支は、輸出が低調だったり輸入が多かったりするから自動的に増えているわけでもありません。また、経常収支が減ったからといって、自動的に海外への投資が減ったり、海外からの投資が増えるわけでもありません。

一つ一つのファクターの背景に好ましい、好ましくないという独立の変動要因がある以上、「最後は均衡するから問題ない」なんて、恒等式だけを見て言うのは、常識的センスに照らして意味が分かりません。もしそうなのであれば、財政運営に気を使う必要なんてさらさらないはずです。 最後は均衡して終わるのですから。(IMF管理下時代の韓国なども、足りない資金は経常移転収支かどこかでファイナンスされて均衡していたはずなのだから、何も問題なかったということですよね?)

つまるところ経常、資本の収支のインバランスは、結局は外貨準備の増減を通じて調整されているわけで、外貨準備の状況は、国債金利や為替水準などと密接に絡んで動いています。

そもそも、ここで「恒等式が成り立っている」と言ってるのは、バランスシートの貸方・借方がバランスするとか、株式市場では売り買い同じ数量が取引が成り立っているというのと同じような話です。マーケットにおいて、これらがバランスしているから問題ない、なんて思う人はいないわけです。バランスシートの中で借り入れが過剰に多ければ問題ですし、株式はいくらの値段で売り買いが成り立っているかが大きな問題です。

つまり、国際収支が「恒等式で成り立っている」というのは、国として存続している限り当たり前のことであって、問題はどのような条件、為替や金利水準でその均衡がなりたっているのか?ということのはずです。だれも、BSがバランスしているから、株価が売り買い同数成り立っているから、それでこの会社は問題ないなんて思いませんよね?

国際収支が恒等的に成り立っているというのは、個々の会社の金利や株価と同じく、その均衡が成り立つように為替や金利などがダイナミックに動きながら調整しているわけです。

そして、個人や個々の経済主体は、そうした為替や金利の変動に大きな影響を受けるわけです。為替や金利が急激に大幅変動すれば、人によっては首をくくらざるを得なくなるわけです。そうした動的な調整を考えず、「最後は均衡するから経常赤字なんて関係ね~」とでもいうような、想像力の欠如したというか、「恒等式」という静的概念で思考停止したマクロ経済学者というのは、本当に脳みそがついているのかと、個人的には超疑問に思うわけです。

さて、そこまで動的な均衡経路に想像をめぐらせても、「仮に経常収支赤字になっても、別に問題ない」と言えますかね?いくら調べてもそうした話はストレートに出てこず、単にゴゴの無知誤解があるかもしれません。ちゃんとした経済学者の意見を伺いたいところです。反論求む!

3月11日、東日本大震災の日ですね。大きな社会的ショックというのは、世の中を大きく変えてしまうというよりも、もともと抱えていた問題の発露を早めてしまうものだ、と感じます。

例えば、2008年のリーマンショックは、低金利・非正規雇用の低賃金・円安によって支えられていた、日本の製造業の「本当の競争力」を晒すきっかけとなりました。この年の5月に役所を辞めたのですが、当時は、トヨタの好調など「日本はやはりものづくり国家だ」との風潮が経産省の中のみならず強く、一方でゴゴはとある事件もあり、こうした見方に疑問をもちながら役所を離れました。

この「ものづくり幻想」の崩壊には、5〜10年はかかるかなあ、と思っていたところ、その秋のリーマンショックで、漠然と予見していた未来がいきなり現実となったことに不思議な感慨を覚えました。


そして、2年前の大震災です。震災は、確実に日本の財政が限界を迎えるタイミングを早めました。それは、近年の国際収支の動向から、その兆しを見てとれます。

国際収支については、たまにニュースで耳にすることもあるかと思いますが、それがいったい何なのかを知っている人は少ないかと思います。ぶっちゃけた話し、経産省の現役官僚でも、国際収支の統計を見たことさえない人がかなりいる(ほとんど?)と思います。

国際収支は、大まかに分けると、
経常収支
貿易収支: モノの売り買いによる収支。
サービス収支: 旅行や国際運送、特許料などなどの受け取り/支払い。
所得収支: 海外の日系企業からの配当など、主に海外投資からの収益。

資本収支
直接投資収支: 経営資本の移動収支。海外からの日本進出があればプラス、日本起業が海外に出ればマイナス。
証券投資収支: 経営資本ではなく、証券市場での売買のための資本移動。
その他投資収支

外貨準備増減: 上記全体を通じた国際的な資金決済を円滑に実施するために国が管理する勘定。

で構成されています。で、たとえば、貿易黒字で経常収支が+10ドルで、仮に資本収支が0でバランスしており、この10ドルが国内決済のために円貨に交換されると、外貨準備は10ドル積み上がって、-10ドル(分かりにくいですが、外貨準備の増加はマイナスで表現されます)となります。このように、経常・資本・外貨準備の合計は0となるようにバランスしています。
 参考:国際収支の項目(日本関税協会のページ)

この国際収支ですが、日本は長らく製造貿易で多額の黒字を積み上げ、一方で海外旅行などでサービス収支は赤字、投資収支も日本に入ってくる企業は少なく海外に出る企業は多いことなどで赤字、トータルは黒字で外貨準備を積み上げてきた、という歴史です。

ところが、リーマンショックを機に製造業の弱さが表出し、貿易収支は赤字を計上することが見られるようになっていました。その上に、震災で原発がとまり、発電のためにエネルギー原料の輸入が増大するなど、平成24年は8兆4000億円の大幅赤字でした。ただし、日本から海外に出て頑張ってきた企業からの配当などの還流によって、所得収支が近年大きな支えとなっており、経常収支は4兆7000億円の黒字でした。

ただ、資本収支は昔ながらの赤字で、結局、外貨準備は3兆円ほどの減少です。
 参考:平成24年中 国際収支状況の概要(財務省のページ)


長くなってきて、何の話しをしてたか忘れてしまいそうですね。。こうした国際収支の悪化に伴う外貨準備の減少は、震災がなくても、トレンドとしては起こるものだったと思われます。少子高齢化が進む中で、いつまでたっても製造業頼りの経済構造で、ゆっくりと国際収支が悪化する方向へ進んでいたのですが、今回の震災を契機に、もう少し将来だったはずの問題が、すぐ目の前に来てしまった、ということです。

このまま外貨準備が減少していって、準備高が不足しかねない状況になれば、海外からの物資の輸入のためには、国債を海外勢に引き受けてもらわないと、支払いができなくなります。しかし、これだけ積み上がった借金がある中で、国債が国内だけで消化できないとなると、さすがに国債の引き受け手が少なくなり、国債価格下落への大きな圧力になるでしょう。この国債暴落シナリオが、震災のために現実味を増したと思われます。

ここに加えてのもうひとつの動きは、アベノミクスによる円安方向への動きです。個人的な感覚では、1ドル100円前後なら適正水準かと感じていますが、問題は、貿易収支が大幅な赤字の中での円安は、経常収支を赤字方向に引っ張る可能性が高いことです。円安で、製造業の競争条件が良くなって稼ぎ出すカネと、一方で原材料やエネルギーのために輸入で払うカネと、どちらが大きくなるのか?後者だとすると、円安は国債暴落シナリオの現実味を、さらに一歩進めてしまうかもしれません。


今回書いた話しは、地震と同じで、いつかくるだろうけど、すぐには来ないかもしれないというもので、これをもって経済的な不安感を煽る目的ではありません。(ゴゴもローンを抱える身なんで、このまま国債金利が安い方がイイのです。)

ただ、なかなか分かりにくい、日本経済の大きな構造を、震災の日を機にまとめようと思ったものですので、日本の現状理解の足しになれば幸いです。どんな困難があろうとも、ただ頑張るしかないですからね。。


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