ゴゴログ

ゴゴトモヒロがモノゴトの本質を考えるブログ

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経済

自動運転技術の発展は自動車産業に具体的にどんな影響を及ぼしうるのか?

最近、自動運転を巡って走行ビッグデータをにぎるプラットフォーマーに将来的には日本の一大産業である自動車メーカーが商売的におされてしまうのでは?という趣旨での危機感を聞くことがあります。

しかしながら、感覚的には分からなくもないけど走行ビッグデータの保有主体に自動車メーカーが収益機会を奪われる具体的な想定シナリオを聞いたことはなく、ホンマかいな?と思うところもあり、単なる個人的関心ですが実際のところ自動運転技術の発展・実現によって日本の自動車産業がどういう影響をうけるんだろう?具体的にカネの流れがどう変わるんだろうというのが最近の疑問の一つです。

(今回は内容マジメかつ特段の結論はありませんので悪しからず。)

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経産省の若手はもっとビジネスに向き合うべし:あらためて例の次官若手ペーパーを読んでみた

前回の続きでもなんでもないんですが、例のペーパー(経済産業省 次官・若手プロジェクト「不安な個人、立ちすくむ国家」)、ずっとモヤモヤするものがあり改めて読んでみました。

やっぱり全体的にフワッとというかボヤけた内容。サンデーモーニング的な感じ。

高齢者の医療問題や子供への教育投資など、「大衆」にわかりやすいテーマとストーリー仕立てで弱者に寄り添ったテイストが、官僚に対する世間一般のイメージとのギャップを生み出し、また若手という期待感でバズったということなんだろうなと思うわけで、意図的かどうかは別として、プロモーション的には上手くいったんでしょう。

でもさ、経産官僚として君たちが考えるべきはやっぱり「経済」ですよ。

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インターネットビジネスで日米になぜこれほどの格差ができてしまったのかをつらつらと振り返る

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先日、「偽史「著作権法のせいで日本では検索エンジンができなかった」は誰が吹聴しているのか」というまとめを読みながら思ったことをつらつらとツイッターでつぶやいたらが意外に反応あったので、一連のつぶやきをブログに残しておきます。(文字制限で無理くり縮めたとこなど少し修正/追記)




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Kindle Unlimited は本当に失敗なのか?

お久しぶりでございます。
数えてみると本年やっと3本目の記事で、ブログやる気のなさが半端ないです。

さて、今回はハゲの読み放題倉庫ことKindle Unlimitedについてです。サービス出だしから色々やらかして、失敗とのレッテルが貼りまくられてるようですが、実際のとこどうなんでしょう?
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大前センセ、「まったくもってグローバル経済・政治を理解できてない」という話し

毎度久々のゴゴログ、タイトルから大前研一大先生をいじっててちょい自分でも引き気味wですが、今回は法人税減税についてです。

※追記:読者の方からコメントいただき、どうも記事と大前先生の元の話はニュアンスが違うようです。最後にいただいたコメント内容を貼り付けておきますんで、「大前センセ」は架空の人物として一通り記事をお楽しみいただき、コメント内容をご確認ください。(っつか、これ本当なら大前先生のブログスタッフは説教やな。) 


大前センセ、こんなことをブログで書いていらっしゃいます。


"政府は全くもって経営・経済を理解できていないと言われても仕方ないレベルだと思います。政府は、法人税減税を理由に「設備投資」「給与の引き上げ」を経団連に要求しているようですが、「法人税を引き下げて残るのは何か?(内部留保と配当)」ということすら分かっていない証拠です。"


この辺り、確かにどこまでマスコミやら一部政治家が理解してるか確かに怪しいところもありますけど、かといって政府サイドもそこまで単純バカな話でもないっすよ、というところが今日のテーマであります。

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TPPの本当の意義を理解しよう!(農業でも輸出でも、アメリカの陰謀でもなく)

TPP、大筋合意となりましたね。テレビニュースなどでは、農産物が安くなる、しかし国内農家が大きな打撃をうけるといった話ばかりされてますが、この協定の日本経済とっての本当の意義はほとんど理解されていないように思われます。

多少理解ある方でも、東南アジアを含む環太平洋地域において自由貿易体制が確立されることは日本経済にとって有効、みたいな漠然とした感じで、おそらく各国関税が引き下げられるなら日本の輸出産業にとって悪くないだろう、という程度の理解じゃないですかね?

農産物?工業品輸出?いやいや、TPPの日本経済にとっての本当の意義は、「サービス・投資」分野でのルール強化ですよ。もしTPPの日本にとってのメリットは何と思いますか?と聞かれたら、ぜひカッコつけてそう答えてください。

さて、それはどうしてなのか・・・?続きを読む

「黒田バズーカー2」による異次元緩和を考えるにあたってのアタリマエの視点について

今回の記事を書くにあたって、まず最初にいっておきたいことがある。日銀よ、総裁記者会見録ぐらい即日アップしとけ!ソースとしてもっとも重要な情報なので、確認しようと日銀のページを漁ったら、公表予定は「11月4日(火)時刻未定」だって。。。歴史的ともいえる重大イベント、徹夜しても即日アップするのが普通の神経じゃないのかねえ。それを連休明けで時刻未定とは、まさにお役所仕事。。(ちなみにコレ書いてる今は11月3日です。)

というワケで、今回は2014年ハロウィンの日に浮かれる日本を襲った、サプライジングな追加量的緩和、いわゆる「黒田バズーカー2」についてでございます。

正直、今回の追加緩和が良いのか悪いのか、私には分かりません。まあ世界の経済学者レベルで見解が分かれるであろう金融政策について、法学部時代に楽勝単位を稼ぐためにしか経済学を修めてないゴゴがいいの悪いの言ったところで意味はないわけですが、世の中賛否両論うずまいているようで。

・黒田総裁は天才かつ秀才だが、間違っている
・小幡績氏は天才でも秀才でもないし、間違っている 

(上記引用はどうでもいいネット上でのから騒ぎを笑うためなので、真面目に読んでもらう必要はありませんww)


しかし、結局のところ賛というにせよ否というにせよ、何をもってそう主張しているのがイマイチ分かりにくいのは、 日本のマスコミの仕事っぷりからすると、一般的なニュースをいくら見てもおそらく同じでしょう。そこで何が分からないのかを明確にしましょう!というのが今回のゴゴログの目的です。


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労働生産性が低いのは日本人の働き方が非効率だから・・・なんて誤解に振り回されてたら余計に経済成長できないかもよ?

ごぶさたしております。最近なかなかゴゴログで書こうという意欲が湧いてくるネタがあまりありません。

それというのも、安倍政権がなかなスキなく手堅い政策方針を打ち出してくるからなわけで、「オマエ何言ってんだよ、分かってね~なww」的な香ばしい話が大好きなゴゴとしては、少々物足りない日々だったりするわけです。(笑)

そんな中、最近結構ハマっているNewsPicksを見ていたら、こんな記事が。。。
・「日本人の生産性」は先進国で19年連続最下位 非効率なホワイトカラーの働き方はどう変わるべきか

NewsPicksはいろんな方が記事に各自のコメントをつけられるニュース・キュレーションサービスですが、ものの見事に「日本人は働き方が非効率。無駄に長時間労働しすぎ。もっと効率的に働かないと!」みたいなコメントにあふれておりました。

しかし、労働生産性が低いのは、日本人の働き方が非効率だから」というのは全くの誤解です。

悲しいかな、記事で紹介されているような業務支援システムを入れていくらシコシコ効率化を図ったところで、システム屋が儲かるだけで労働生産性はあがりません。


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ビットコイン問題4・仮想通貨で結局世の中何が変わるのか、そしてその課題とは。

ゴゴログ、久々の更新はこれまた久々のビットコインネタです。

以前の記事では、Mt.Goxの破たんを機に、ビットコインの価値は急速に落ちると予想していましたが、350ドルを切るところまで徐々に値を下げたあと、ここ一月ほどはおおむね400ドル台で安定しています。 ビットコインの金銭価値について懐疑的であることにはかわりありませんが、「価値が急速に落ちる」との予想は外れですね。。

さて、そうしたワケで、安定しているがゆえに最近はマス的にはあまり取り沙汰されなくなくなったビットコインですが、「仮想通貨」の意義については色々と議論は続いているようで、ゴゴログ的にも視点を変えて、「つまるところ仮想通貨とは何なのか?」を考えてみました 。まだちょっとアタマの中が整理されきっていないところもあり、やや生煮えかもしれませんが、ちょっとまとめてみます。



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ビットコイン問題3・ビットコインの賛否論点と矛盾点、今後の展望予測を分かりやすく解説

ビットコイン、Mt.Goxのトラブルで朝のワイドショーでも取り上げられるくらいのポピュラーな話題になってますね。

ビットコイン問題については、昨年の記事で終わりにしたはずでしたが、今回の事件を契機にビットコインがクローズアップされた結果、「ビットコインなんて詐欺みたいなもんでしょ」vs「ビットコインは価値がある、今回の問題は部分的な話だ」という意見対立がみられ、多くの人にとっては何が本当やらよくわからないと思いますので、それぞれの主張のポイントを簡単に整理しつつ、ビットコインと言う存在の矛盾について説明してみます。

(ビットコインについて詳しく理解したい方は、同じビットコインカテゴリの過去記事をご参照ください。)


1.「取引手段」としてのビットコインの価値 (技術的側面)
これは技術的思想としては良くできていて、「ブロックチェーンとプルーフオブワーク」という設計による、不正な使用の回避やビットコインの生成プロセスにおける「信頼性」の構築の仕方は、評価に値すると思います。IT系の人など、ビットコインを認める人たちは、ほぼこの点でビットコインを信用していると思います。


2.「貨幣(通貨)」としてのビットコインの価値 (貨幣論の側面)
こちらについてはまったく噴飯モノで、ビットコインに「貨幣的価値」はありません。貨幣の価値とは、大きく言えば「価値の信頼性(価格の安定性)」と、「流通範囲の広さ(いつでもどこでも使える)」につきます。まとめて言えば、どこに行っても同じ値段のものを買える、ということです。この点、ビットコインはそのどちらも満たしません。


3.ビットコインの矛盾点
ビットコインは、「技術的に取引上の信頼性が高く、それゆえに人々に信用されるならば、立派な貨幣である」、というのがIT派の人々の主張かと思いますが、取引上の「信頼性」と、貨幣としての「信用性」はまったく別のモノです。

前者は「ニセモノではない」ことを言っており、後者は「一定の価値に値する」ことを言っていますが、信頼と信用が概念的になんとなく似ているために、まぜこぜに理解されているところが、それぞれの主張が擦り合わない理由かと思われます。

たとえばここに1枚の珍しい切手があり、絶対にニセモノではないという保証があるとします。しかしだからといってこれが10万円の価値の通貨です、と言われても、それは一般的に認められないですよね。珍しい切手が好きであれば10万円出して交換してもいいかもしれませんが、興味がなければそれで10万円相当のモノは渡せないですよね。珍しい切手という「信頼性」はあるものの、価値の「信用性」はない、という状態です。

ビットコインはほぼそういったものです。ビットコインというデータのカタマリが好きならば、10万円だろうとなんだろうと払うのは勝手ですが、それが希少であるということとニセモノではないという「信頼性」だけで、世の中的に10万円の価値があると主張するのは無理があります。ビットコインは貨幣ではなく、いつでもどこでも使える保障はないのですから。

(ちなみに、普通の紙幣も「国家の信用力」というあいまいなものを背景にして発行されているから同じ、という意見をみかけますが、国には徴税権という強力な権限が担保にあることをお忘れなく。)


4.結論
というわけで、確かにMt. Goxの問題は一組織の問題であってビットコインシステム全体の問題ではありません。ビットコインそのものは「単なる詐欺」と切り捨てるには、少なくとも技術的にまっとうな存在であると思われます。

しかし、ビットコインはそうした技術的な側面に頼り切って、そもそもの「貨幣」としての信用性を担保する仕組みはない(というか出発点としてあえて否定している)という点で、信用リスクに対する脆弱さを抱えています。

なので、今回の事件は、技術的側面では関係のない組織運営の問題と言えるかもしれませんが、信用性の観点でみれば、そもそもそ信用根源のあいまいなビットコインという存在に致命的な問題を引き起こしたというのがゴゴの見方です。

今回の問題をきっかけに新規の取引参加者が減ってしまえば、ビットコインの価格はどこまでも落ちていくだろうといのがゴゴの個人的な見立てです。そもそもが、1ビットコインがいくらかという相場観を守る信用度合が何もないのですから、買う人がいなくなればフリーフォールになるのは当然のことかと。ま、あくまでも個人の予測ですが。
 
以上、ビットコイン問題を理解する上での一助になれば。
 

ということで、たぶん日本一シャープに論点整理してみました。原発再稼働に反対ですか?賛成ですか?

前回、脱原発かどうかではなくて、再稼働に反対なのか、それとも賛成・容認なのかが本当の争点だと書きました。

で、賛成・反対どちらをとるか、その理由はなぜかを考えてみてください、としていましたが、皆さんいかがでしょうか。

この問題をきちんと考えるためには、原発が停止状態にあることと稼働状態にあることの「差異」を理解していないといけません。メリデメとかプロコンとかってやつです。

まず前提として、普通に止まっている原発だろうと、いますでに溜まっている放射性廃棄物や原子炉の完全処分は、「脱原発」と叫んだところですぐには実現できないことなので、再稼働しようとしまいと、原発はこの先何十年も存在し続ける、ということは押さえておくべき事実です。

さてでは、再稼働したときと止めているとき、そのメリットデメリットは何でしょうか?

再稼働のメリット
まず、再稼働した場合のメリットは、輸入燃料費を下げられることです。最近、経常収支赤字のニュースなどでかなり認識されるようになってきましたが、原子力発電の代わりに火力発電に頼っていることで、燃料輸に年間で約4兆円も余分にかかるようになっています。これは、今回の消費増税による税収増に匹敵します。このおカネを節約できれば、被災者への賠償や電気料金の引き下げなどに充てることができます。

(関連ソース)
原発停止で13年度の燃料費3.6兆円増
消費税8%、税収増は4兆円強


原発停止のメリット
では、原発を停止しておくことのメリットは何でしょうか?

ザックリいえば、再稼働しないことのメリットは「安全」ということでしょう。しかし、動いている原発と止まっている原発の安全性の違いってどれほどなんでしょうか?

実のところ、判断できるだけの情報があまりないのですが、考えるべき3つの論点を以下あげます。

メルトダウンまでの余裕
まず、動いている状態から、被災等で制御不可能になると、すでに炉内水温は沸点を越しているので、数時間程度で冷却水が蒸発し、メルトダウンが始まるらしいです。一方、冷温停止状態であれば、冷却水が沸点に達するまで数日間は余裕があるらしい。。

しかし、ここで「らしい」とばかり言っているように、あまり確たるソースが出てきません。ゴゴの調べ方が悪いのかもしれませんが、個人のブログやはてななどのQAでやっとこうした「違い」について書かれたものを見る程度です。

(関連ソース)
原発は稼働中より停止した方が安全ですか

とはいえ、確かに、稼働状態と停止状態、それぞれで全電源喪失した場合の対応余裕度にそれなりの差があることは、理屈からして間違いなさそうです。

全電源喪失に対する対応策
そうすると、次にこうした制御不能になる可能性というのは、どれほどのものなのでしょうか?

福島の場合、「全電源喪失」という状態になり、そこからのリカバリーがうまくいかなかったことが事故の直接要因なのですが、そうした全電源喪失という事態や、そこへの対応策というものが、福島の事故をうけてどこまで進んでいるのかが良く分かりません。

ちなみに、「全電源喪失の場合も対策万全なのでもう福島のようなことは起こらない」と強く言ってしまうと、「じゃあやっぱり福島は完全に人災だよな」と、政府・東電の過失責任が改めて浮き彫りになってしまうので、この問題がイマイチはっきりしないのはそれを避けるためじゃないの?とゴゴは少し政府側の姿勢を疑っております。

ここは、福島の事故の原因と合わせ、隠すことなくはっきりさせるべき問題だと思います。

(関連ソース)
全電源喪失「津波が主因」、規制委報告
原発の全電源喪失、米は30年前に想定
全電源喪失を回避せよ 世界の原発、福島事故で動く

使用前燃料と使用済燃料の違い
もうひとつ分からないことがあります。それは、核燃料が使用前と使用後でどれほど扱いにくさが異なるか、ということです。

核燃料廃棄物の最終処理の難しさが再稼働反対の大きな論点になっているのですが、では、再稼働しないとしたときに、現在残っている核燃料はどうなるんでしょう?これは廃棄や処分がラクなんでしょうか?

まあ、原発を動かし続ければ処分しないといけない核物質の総量は増えるので、少なければマシという気もしますが、現在ある核燃料・廃棄物の処分が出来ないなら、程度差という気もします。この差異については全く見つけられませんでした。

まとめ
というわけで、再稼働をめぐるメリデメをならべると、
・再稼働すると、年4兆円(消費税3%分、あるいは1日100億円)の燃料費を削減できる。

これに対し、

・再稼働するよりは、停止状態にしておいた方が安全そう。しかし、リスクの違いがどれほどかはよく分からない。
・再稼働しないほうが核燃料・廃棄物の処分がどれくらいラクになるのかは不明。


ゴゴのこれまでの考えは、動いていようと止まっていようと原発は存在するのだから、結局はリスクは同じ、なら動かしておいた方がトク、というものでした。

しかし、こうして掘り下げてみると、リスク差についてはよく見えない中ではあるものの現に福島で事故は起こっており、とはいえ一方でいまは1日100億円も海外に垂れ流しているという状態も看過できるものではなく、判断が非常に難しい、というのがゴゴの現在の認識です。

(で、判断つかない中ですが、とりあえずは再稼働賛成派です。でももし、福島のような事故が千年に一度は起こりるかもしれませんと言われると、反対するかなあ。とはいえ100年安心レベルでも400兆円か。。)

このように考えると、脱原発を争点にあらそうなら、停止状態と稼働状態のリスク差や、全電源喪失に対する対応策の現状をキチンと開いた上で議論すべきだと思います。いまのままではまっとうな判断ができません。

だいたい原発問題は、あまりにもイデオロギー論が多すぎです。そりゃ確かに、安全考えれば原発はない方がいい。しかし、反対が通ったからといって問題がすぐに消えてなくなるわけではありませんよね。すでに原発も核廃棄物も存在し、その処分は賛成反対いずれにしろ考えないといけない、そして、そのためには莫大なおカネも必要なワケです。

なので、イデオロギーでの原発賛成/反対ではなく、すでに原発が存在していることを前提に、再稼働することとしないことについての「現時点からの差分」をリアリスティックに議論しないと、何の解決にもならないとゴゴは考えてます。

東京都知事選の争点が脱原発などというのは荒唐無稽な状況であり(前回言いましたが、そもそも「脱原発」なんて争点にもなりません)、その中でさらに低レベルな議論に振り回されないよう、政府としては一層の説明責任を、マスコミにはもう一歩突っ込んだ報道姿勢をお願いしたいところです。


ちなみに、もう締め切られてしまったようですが、日経ビジネスオンラインのこのアンケートは、なかなか良い切り口だったと思います。欲をいえば、もう少し上記論点に対して材料を示してほしかったですが。結果に注目しています。

それでも経済は動いている~国際収支の恒等式という、マクロ経済の「常識」に疑問を呈すハナシ

今回は、分かってもらえるかは微妙ですが、かなり大胆な記事だと思います。。。マクロ経済論で「アタリマエ」として扱われていることに、経済学修士でもない素人が疑問を呈するという大胆なハナシです。

さてみなさん、国際収支の恒等式というものを聞いたことがありますでしょうか?
 経常収支(=貿易収支+投資収支)+資本収支+外貨準備増減(+誤差脱漏)=0
というやつです(知らない?)。本来的には、「恒等式」なので、二本線の「=」ではなく、三本線のイコールでつながれているはずですが、表記方法が分からないので普通のイコールのままにしておきます。

この「恒等式」というやつですが、ちょいと数学好きとして寄り道しますと、単なる「等式」とは違うのです。等式というのは、aとbとcを足したら、結果的にXでした、という起因(左辺)と結果(右辺)を示しているだけのものです。一方、恒等式というのは、a+b+cは常にXであり、a,b,c,とXは表裏一体な関係である、ということを言っています。(この違い伝わります?)

つまり、国際収支の話に戻って言えば、 
 経常収支+投資収支+外貨準備
が、状況に応じて-10になったり100になったりすることは絶対にない、ということを示しています。

さて、ここからが問題です。エコノミストや経済学者などの中には、国際収支は恒等式で成り立っているのだから、いくら貿易赤字が増大しようとも、国際収支は必ず最終的にはバランスして0になるものであって、「赤字」という字面だけで問題視することはナンセンスだ、という主張をする人がいます。 

確かに、貿易収支や経常収支をそれだけ見て「赤字」だから云々というのは、国際収支モデルを理解しない素人以前の議論と言えるでしょう。しかし一方で、「恒等式でバランスするのだから問題ない」という考え方について、ゴゴは大いなる疑問を呈します。

(ここは正直、その道の専門家でないので大いなる無知をさらしてしまうかもしれません。しかし、長年の疑問をつきつめても、この後にお話するように大概のマクロ経済学者は思考停止してんじゃないの?という結論にしかならないです。そういう意味で、マクロ経済の常識に反旗を翻して?大胆に真実の追求に以下チャレンジします。。本当の本当に分かってる人には当たり前のハナシかも知れませんが。。)

***

例えば、製造業の競争力が落ちて輸出が伸びない、原発が止まって火力発電燃料を輸入しないといけなくなったなどといった理由での貿易収支の赤字拡大は、その背景は決して好ましいものではありません。そして、逆に黒字になっている投資収支は、輸出が低調だったり輸入が多かったりするから自動的に増えているわけでもありません。また、経常収支が減ったからといって、自動的に海外への投資が減ったり、海外からの投資が増えるわけでもありません。

一つ一つのファクターの背景に好ましい、好ましくないという独立の変動要因がある以上、「最後は均衡するから問題ない」なんて、恒等式だけを見て言うのは、常識的センスに照らして意味が分かりません。もしそうなのであれば、財政運営に気を使う必要なんてさらさらないはずです。 最後は均衡して終わるのですから。(IMF管理下時代の韓国なども、足りない資金は経常移転収支かどこかでファイナンスされて均衡していたはずなのだから、何も問題なかったということですよね?)

つまるところ経常、資本の収支のインバランスは、結局は外貨準備の増減を通じて調整されているわけで、外貨準備の状況は、国債金利や為替水準などと密接に絡んで動いています。

そもそも、ここで「恒等式が成り立っている」と言ってるのは、バランスシートの貸方・借方がバランスするとか、株式市場では売り買い同じ数量が取引が成り立っているというのと同じような話です。マーケットにおいて、これらがバランスしているから問題ない、なんて思う人はいないわけです。バランスシートの中で借り入れが過剰に多ければ問題ですし、株式はいくらの値段で売り買いが成り立っているかが大きな問題です。

つまり、国際収支が「恒等式で成り立っている」というのは、国として存続している限り当たり前のことであって、問題はどのような条件、為替や金利水準でその均衡がなりたっているのか?ということのはずです。だれも、BSがバランスしているから、株価が売り買い同数成り立っているから、それでこの会社は問題ないなんて思いませんよね?

国際収支が恒等的に成り立っているというのは、個々の会社の金利や株価と同じく、その均衡が成り立つように為替や金利などがダイナミックに動きながら調整しているわけです。

そして、個人や個々の経済主体は、そうした為替や金利の変動に大きな影響を受けるわけです。為替や金利が急激に大幅変動すれば、人によっては首をくくらざるを得なくなるわけです。そうした動的な調整を考えず、「最後は均衡するから経常赤字なんて関係ね~」とでもいうような、想像力の欠如したというか、「恒等式」という静的概念で思考停止したマクロ経済学者というのは、本当に脳みそがついているのかと、個人的には超疑問に思うわけです。

さて、そこまで動的な均衡経路に想像をめぐらせても、「仮に経常収支赤字になっても、別に問題ない」と言えますかね?いくら調べてもそうした話はストレートに出てこず、単にゴゴの無知誤解があるかもしれません。ちゃんとした経済学者の意見を伺いたいところです。反論求む!

小泉さん、即原発ゼロなんてモウ〇クしましたね。。。原発再稼働反対と住宅ローン地獄の機微なる関係

FB直打ちで書いたネタですが、良質かつ長文な記事で流すのがもったいないので(笑)、ゴゴログにコピーして残します。

***

小泉さん、評価は色々あれど一番好きな政治家だったのだけど、引退して年取ってモウ〇クしたのか、何か狙いがあるのか、脱原発関係の発言はホントいただけない。長期的に原発依存を脱しようという方向性を決めることは悪くないと思うけど、だからといって「再稼働反対」みたいなイデオロギー議論に油を注ぐことの影響と問題を理解しているのだろうか?


いま、日本経済は原発が止まって火力発電のための燃料輸入コスト増大で、大幅な貿易赤字になっている。それを海外投資の配当などの上がり(投資収益)で埋め合わせているものの、差し引きの経常収支は大幅に減少しており、先々赤字に転落することも現実味を帯びてきている。(たぶん、5年前に経常赤字を懸念する状況を夢にも予想していた人はほとんどいないだろう。それほど、日本の経済状況は一変している。)

経常赤字は「赤字」だからといって決して悪いとは限らない、というマクロ経済恒等論をもって反論する人もいるが(アカデミックなリクツとしては間違ってないけど)、経常収支ともう一つの大きな項目、投資収支においても、日本はお金が外にでていく「出超」状態が続いている。これもそう簡単には逆転しないだろう。とすると、資金ファイナンスを保つためには、海外勢に国債を買ってもらわないといけなくなる。かといって、こんな借金だらけの国の国債を、今のような低金利で、しかも経常も資本も赤の状態で買ってくれる投資家がいるか?(現在は、まだ国内でだぶついている資金を国内銀行が貸出先もないので国債にまわして利ざやを稼いでいるから消化されているだけ。でも彼らもリスクをさけて短期物にシフトしている。)

つまり、原発を止めて輸入化石燃料に頼る→経常収支が赤字になる(となると)→国債金利があがる→ますます国の借金を返すめどがなくなる→国債暴落、という危険性をはらんでいるのだ。これはあくまでも可能性であって、必ずそうなるとは言えないけれど、リスクが高まっていることは否定できないと思う。

こういうことを考えると、原発には原発のリスクはあれど、もう一方に財政破たんのリスクを考慮に入れて政策運営をしていくことが絶対必要なのだけど、小泉さんが「脱原発」とか言っちゃうと、そういうことを理解せずに勢いで再稼働に反対する人が増えるだろう。。ちょっと本当に勘弁してほしい。

国債暴落なんてことになったら、アナタもワタシも住宅ローンなんて返せないですよ。それこそ首をくくる人が続出するだろうな。原発も問題、でも財政も同じくらい(かそれ以上に)問題なのです。
 

韓国経済への邦銀の資金供給拡大は、経済政策的に見るとどうなのよ?という話し

先日、知人にお誘いいただき、経済政策について久しぶりにいろいろと語りあう機会がありました。そこで聞いた興味深い話として、邦銀が韓国企業に対する資金貸付を拡大させているというハナシがありました。確かに、少し調べてみると、韓国の金融資本はもともと脆弱で、欧州系をはじめ外国資本が韓国金融のベースになってたのですが、欧州危機で彼らがリスク縮小のために手を引いたところに、邦銀が代わって入り込んでいる、という状況のようです。

(少し古いですが、例えばこんな記事)
邦銀に商機、3メガバンクが韓国向け融資を急拡大
 
(その他、各行の動き)
三井住友のリリース
みずほのリリース

知人は、この状況に対して、二つの観点で大きな懸念を語っていました。まず一つは、この邦銀の貸出先として、日本企業にとって競合となる韓国企業に対して資金供与していることです。電機、プラントや製鉄など、様々な製造分野で日本企業と競合している韓国企業は、海外でも旺盛な投資拡大を図っており、そこに貸付需要を見て邦銀も貸し込んでいるのですが、それにより、邦銀にとって古くからの顧客であるはずの日本の企業(加えて、関連する裾野企業も)、ひいては日本人の雇用に対してネガティブな影響を与えているということです。もう一つは、一部の韓国企業は世界景気の変動や各国進出先での過剰な設備投資等により自らの財務状況を悪化させており、邦銀自身にとっても貸出リスクが高まっている、ということでした。



ゴゴがウレシク感じたのは、経済政策に絡んできちんとカネの流れを追いかけて動いている経済人がまだいる、ということでした。邦銀が自らの商売として韓国の企業に貸付を行うことは、まあ勝手と言えば勝手ですし、日本企業ももっと頑張れよ、という面もあるとは思いますが、単なるイデオロギー的な嫌韓論ではなく、日本経済に対する実利の問題として、こうしたネガティブな状況に対して、経済政策としてどのような手を打っていくのかという視点で考えることは重要な問題だとは思います。

最近は経済政策というと「ベンチャー支援」「○○特区」「グローバル化対応」など、アイディア政策的なものがもてはやされるような印象がありますが、日本に入ってくるカネ、日本から出て行っているカネをきちんと把握したうえで、どこを活発にしてどこを抑えるべきなのか、そういう商売人的な視点(国家レベルでの)でもって、地道に企業に働きかけていくことの方が、経済政策を考えていく上で必要なことなのではないかと思います。現に、これまで何度も「○○成長戦略」や「雇用創出○○万人」みたいなスローガン政策が打ち上げられてきましたが、まったく何にもなりませんでした。

(ちなみに、意外に思う方も多いかもしれませんが、経済政策に携わる官民のメンバーといっても、カネの流れをきちんと押さえて経済政策を考えている人はあまり多くないんじゃないかと思います。国際収支統計とかみたこともない人も結構いるんじゃないですかね。そういえば、かつてM&Aファンドや株式市場について全く理解のない発言をして、問題になった某事務次官もいましたね。。)

下手をすると単に政治的な議論におわってしまいがちなアイディア政策議論にとどまらず、国内外で今、どこをどのようにカネが流れていて、何を抑えればその流れがどう変わるのか?という、「渋い」経済政策がなされていくことを期待しています。頑張れ!

消費税増税タイミングと経済成長への影響

税制ネタ続きでスミマセン。消費税増税について、友人とFB上で議論になった話がそのままにしておくのがもったいなかったので、こちらに残しておきます。ちなみに、ゴゴは消費増税に賛成、友人Kはこのタイミングでの消費税増税に反対、という立場で、消費税増税を判断する「18条条項」を巡っての議論の一部です。

***

(友人K)
財政均衡しないと国債暴落ってずっと言われていますが、アベノミクスで大幅金融緩和=財政均衡しない政策しても金利は上がらず、景気も回復傾向な訳です。やっぱり財政均衡よりデフレ対策が先、というのが正解かと思います。

CPIがプラスといっても、原発停止で燃料費が増えてのCPI(ゴゴ注:消費者経済指数のこと。いわゆる物価水準のこと)上昇であって、コアコアCPI(ゴゴ注:市況での変動が大きい生鮮食料品とエネルギー関連消費を除いたCPI)はまだマイナスの状態に増税してたら18条の意味なしでしょう。

(ゴゴ)
K、コアコアとか見てんの?マニアックだねえ。
おっしゃる通り、18条解釈として現状をどう見るかは判断の分かれ目だと思うよ。

ちなみに、個人判断としては、

・コアコアは依然マイナスだけど、足元の回復は続いている


・増税はCPIを一時的に下げる影響はあるけど、回復へのベクトルには影響しない。(マクロ経済学的には、水準効果はあるが成長効果には影響しない、という考え方。)


・アベノミクスは経済成長への実態がなく、どのみち長続きしないので、この機会を逃すと増税タイミングを失う可能性が高い。


え、先行き不透明なのにここで増税でいいの?って思うだろうけど、長期的な経済低迷のトレンドの中で、どこかではやるしかないと思ってるので、そもそも個人的考えではデフレ傾向かどうかは関係ないのよね。上でも言ったように、税率は水準効果しかもたないので。
(もし成長効果に影響するならば、税率の低い国ほど経済成長率が高いはずだけど、そんなワケないよね。)
 
 ***

このやりとりを残したかったのは、赤字部分の「水準効果と成長効果」 という概念をふと思い出したからです。 

役所時代、「何が経済成長をもたらすのか?」という、仕事柄当然な関心をもって手にとったのが、
・経済成長理論入門

経済成長理論入門―新古典派から内生的成長理論へ
チャールズ・I. ジョーンズ
日本経済新聞社
1999-09


という本でした。この本、数式もあるにはあるのですが、そもそもがなるべく数式的表現を排除して、経済成長に関する理論を分かりやすく伝えることを目的として書かれているので、数式部分を読み飛ばしても理解できて、かつ知的刺激を受けられる良書です。

技術水準や教育水準、イノベーションが、なぜ・どのよう経済成長につながるのかといった、感覚的には分かるけど理屈的には知らない話や、政府による経済政策の効果と限界といった内容についてきちんと説明されており、マクロ経済的なものに対する見方・考え方について、ゴゴ自身の大きな土台になっています。
 

で、 ブログ書くにあたって多分
10数年ぶりに本棚から手にとったのですが、「水準効果と成長効果」って、まとまった記述は少なくて、本の端々にでてくるくらいなんですね。それでも、ある要素や政策が、
 経済成長に対して持続的な効果をもたらすのか(=成長効果)、
 経済水準を上げるものの成長持続効果はないか(=水準効果)、
という概念の違いが成長理論の中での問題意識として伝わってくるもので、当時、そうした概念の違いを知ったことや、問題意識そのものが自分の中に結構刺さっていたのだと思います。

仕事も変わって使うこともないのに、ふとした瞬間にこんなワードが自然と思い出されるのって、不思議なものですね。

ちなみに、この本を久々に開いて最初に飛び込んできた一文、1999年3月付の、原著者チャールズ・I・ジョーンズによる日本語版への序文-
「・・・過去50年間の日本経済のパフォーマンスは、経済成長の最も目を見張る歴史的偉業の一つであった。(略)

それにも拘わらず、この例外的な成長が鈍化するのは、予測できることである。この成長を終わりに導く力が自然と働くと見通すことは、現代成長理論の偉大な成果の一つである。(略)」 

15年後の今、これをどう受け止めたら良いのか戸惑いますが、なんとも不思議な感慨を覚えます。。。
何ともしまりがつかない終わり方ですが、今回は、これにて。

 
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