陳腐な言い方だけれど、なんとも痛ましいとしか言いようがない事件である。

死亡の5歳、ノートに「おねがいゆるして」両親虐待容疑

うちも年の近いこどもがいるのだけど、5歳というとかなりはっきりした個人としての人格があるわけで、ほとんど何の認識能力もない赤ん坊を虐待死させたのとはまた違う非道さ・悲惨さを感じてしまう。

このクソ親どもには1か月ほぼ絶食させて労役につかせればいいと思うところだけれども、感情論で実現不可能な妄想をここで語ってもしょうがない。


さて、同じ事件であるが、気になったのはこちらの記事である。

衰弱させた状態で放置、5歳虐待死で両親逮捕

”この事件を巡っては、2年前から虐待を把握していた香川県の児童相談所と、転居先を管轄する品川児相の間で危機意識が共有されていなかったことが判明し、両児相は現在、合同で対応の検証を進めている。”

対象児童・家庭が引っ越しなどで児童相談所の間の連携がとれなかったという話はこの手の事件が起こるたびにちょくちょく聞くわけで、「両児相は合同で対応の検証を進めている」みたいな個別の話をしてる場合じゃないんとちゃうの?と思う次第。

で、前々から思ってるんだけど、児童虐待防止のための全国共通システムとか整備できないんですかね?

5歳女児死亡 両親「虐待発覚恐れ病院行かず」

これまた同じ事件の別記事だけど、香川の児相はそれなりに対応してたし、東京の担当者も放置していたわけではない様子。ただ問題は、「虐待のリスクが高いかどうか、判断している最中に事件が起きた。」と児相をまたいだところで判断が巻き戻ってるところ。

なんでそうなるの?って話だけれど、現場担当者の属人的な判断・対応に投げっぱなしになっているものが多すぎるんじゃないんですかね。

香川での一定のアラートレベルになっていたと思われるのだけれど、それが共通システムの中で引き継がれないから、アナログな引き継ぎ情報のみを頼りにまたイチからリスク度合いを担当者が判断しなおしていたと、そんな感じに受け取れるわけで。

一方、児童相談所が貧弱なリソースの中で限界を超えて対応しているみたいな話はよく聞くので、もはや個別の児相や担当者の対応を非難してあげつらっても何の解決にもならんわけですよ。


というわけで、全国共通の児童虐待防止システムの整備とかにいい加減おカネつけられないんですかね?今回の事件とは違うものの、ネグレクト(育児放棄)事案で居所不明の児童が実は数年前に飢死していた、なんてのもありました。

「パパ、パパ」閉ざされたドア 5歳長男は8年後、白骨化して発見された…行政はなぜ助けられなかったか

思い出して上記の記事を発掘したんですけど、2014年当時、すでにこんなことが語られている。

”市や県を超えて移動している場合もあり、自治体だけで居所不明児童を捜すのは難しい場合もある。国が情報を一元管理する仕組みづくりが必要」と話す。”

この記事の他の部分にも児相関係者の意見として見るべきところがあって、おそらく現場現場では教訓なり改善策が活かされているのだと思うけれど、システムとして現場や担当者を支援する仕組みまでにはきっと昇華されてないのよね。

なので、膨大な担当案件の中で優先順位もつけきれないまま、たまたま掘り起こしきれずに爆発した大きな地雷が事件として明るみに出る、そんな話の繰り返しのような。

しかしですよと、世の中AIだとなんだと言ってる時代、出生届がでたら全国共通のDBに登録されて、定期健診や予防接種などのあるべき通過ポイントに出てこないと自動的にアラームが上がるとか、要ケア児童はマーキングして地域を跨いでもトラックできるとか、リスク判断は共通化されて要対応レベルはそのまま引き継がれるとか、その程度のDBとサポートシステムくらい簡単に作れるんと違いますのん?

で、新生児にはマイナンバーカードをはなから送りつけて、母子手帳アプリと連携するようにしつつ通過ポイントのトラックキーにすれば、マイナンバーカードの普及促進にもつながりますがな。


個人的には政策的意義がないと思う幼児教育無償化(※過去記事参照)につぎ込むカネのほんの一部で、こんなシステムは簡単に作れるはず。
「こども保険」はいいけれど、中身が単なるバラマキじゃ意味がない

カネをかけたところで子どもを虐待死させる親は完全には排除しきれないし、そこまでして防ぐべき被害・犠牲はいかほどなのかという費用対効果の議論もあるとは思うものの、子どもにとっての最後の砦となるべき児童相談所の機能不全が原因で子どもがで命を落とす、重大な被害を救護できないという状況を放置することは、社会的正義の問題として看過すべきではないと思うのですよ。

ひどい状況にある子どもの支援を後回しにしてでも保育園の費用をタダにして欲しいかと言われれば、ほとんどの人は否、という言うんじゃないですかね。そういうことです。

ということで、心ある政治家の皆様と、厚生労働省および総務省の関係者様におかれては、児童虐待防止にむけた支援システムの整備等に向けてご検討いただければと存じます。必要とあらば喜んでお手伝いしますので。


(2018.6.10追記)
予想以上の反響をいただき、システム実現に向けた論点を整理する記事を書きました。こちらもあわせてぜひ。