毎度ながら大変ごぶさたしております。

前回のフィンテックと持てはやされる給与前払いサービスがこんがりグレーに香ばしい件からはや半年、平穏すぎる日々に記事を書く意欲もなく過ごしておりましたが、そんな5月の某日、なんと当該記事でとりあげたPaymeの後藤社長から面談したいとの連絡が入りました。

たまたま間に入って連絡してきた先方顧問弁護士がちょっとしたつながりがある人ではあったのですが、記事の内容が内容なだけに訴訟の可能性もあるかもなと関係情報をおさらいしながらテンションを上げて当日を迎えたのございます。


結論から言えば後藤社長は非常に低調な物腰で終始穏便な会話で終わったわけですが、Paymeさんから伺ったところでは、

・法的な論点については、金融庁および厚労省に相談している

・金融庁としては、Paymeが労働者に支払っている金銭が「賃金として認められるか(賃金性)」がポイントとして認識

・厚労省側には、弁護士を通じてPaymeのスキームの適法性について照会し、Paymeから労働者に労働債権の先払いをしている点についても問題ないと担当者より口頭確認、との弁護士レポートを得ている

・これをもって金融庁に賃金性を有することを主張しているが、金融庁としては厚労省側に直接確認するとの回答をもって判断が浮いたままの状態
とのことでした。

こうしたことから、Paymeさんとしては法令遵守の姿勢をもって事業展開を進められていることが理解できましたし、後藤社長自身として日々のおカネに困る人のサポートをしたいとの事業にかける思いも強く感じられました。

で、面談の本旨として、「当該記事についてメディアの中立性を尊重したいので削除してくれとは言わないが、ただ、今回の面談を通じて理解いただいたことを追記をお願いしたい。あと後藤はいい奴だったと伝えていただければ。」とのことでしたので、あらためて伝えておきます。後藤社長はいい奴でした!


・・・と、ここで終わっては物足りないわけでして、当日先方にもお伝えしたポイントが今回のゴゴログ的には本論になります。グレーゾーンをまっとうに攻めたいベンチャーさん必見です。

まず、先方から伺った3点目、「Paymeから労働者に労働債権の先払いをしている点についても問題ないと担当者より口頭確認」としている弁護士レポートに頼ることはリスキーさが残ります。

弁護士名で書かれたレポートを私も見せてもらいましたが、事業側として確認したい論点について「輪切り」にして個別に確認したスタイルになっていました。当該記事でも「部分部分の合法性をつまみ食いして」との懸念を示していましたが、やはりそういうスタイルに近い形で質問を投げて解答を得ています。

行政官庁というものは、個別個別の要素の判断積み上げではなく、総体としての是非を総合判断する傾向があります。法文上ですべての事象をあらかじめ規定することは不可能なので、当然といえば当然です。一方で弁護士は法文上の規定と判例からしか見解を出しようがないので、弁護士の判断と行政官庁が異なることは大いにあり得るわけです。

もう一点、これはPaymeさんの問題ではないのですが、行政側は誰が答えているか、解答は文書か、というところは気を付けるべきところです。残念なことですが、行政側の問い合わせ窓口担当者だときちんと法文規定や告示等を理解していないことが意外とあります。

上記の「Paymeから労働者に労働債権の先払いしている点」については、前回記事でもリンクした厚労省通達の見解と齟齬があり、担当者がこの点を踏まえて解答したのかどうも怪しく思われます。

当方もググって調べた程度でその後の通達変更などあった可能性はありますが、賃金の直接払いの原則を踏まえた、「当該口座振込み等が、使用者の管理する使用者の自らの口座から行われるとき」とする要件が変わっていなければ、担当者の回答は間違っていることになります。

Paymeさんから伺った金融庁の対応をみても分かるとおり、役所の見解というのは紙で得ないとほとんど対抗力がありません。とはいえ役所は簡単に紙での回答を出してくれないワケですが、事業上のコア課題となるポイントについては、なんとか紙での回答を得るか、せめて本省担当課長補佐レベルとの面談で確認したいところです。(どうやってやるの?というところは是非ご相談いただければ。)

***

というワケで、Paymeさんのサービスが法的に妥当か否かは依然として行政判断待ちという状況ではありますが、面談を通じて後藤社長およびPaymeさんの真摯な対応姿勢は理解しましたので、しばらく静観したいと思います。

なお、個人的には事業側への立替払い融資的な建付けとして必要な金融業法上の届け出認可を得る方向に進めばよいと思いますし、後藤社長からは使用者による口座デポジットなども含めた方向性を検討しているとの話も伺いました。

これらの点がクリアになってさらにこの新しいサービスが成長していくなら何よりと思う次第であります。

ダウンロード


~~~個人的PR~~~
国家公務員や議員秘書など、政策立案プロセスを分かっている人材がもっと民間で活躍し、新たなルールづくりとイノベーションをリードして欲しいとの思いから、政策人材向けの求人サービス【Revolve】を立ち上げました。

https://www.revolvejp.com/

霞が関・永田町の現役、経験者など政策人材のみなさま、ぜひご登録ください。また、政府へのはたらきかけが必要と考える企業・ベンチャーの方もご相談お待ちしています。
~~~~~~~~~~