「メルカリで現金が売られている」っていう話し、ご存知でしょうか?

ツイッターでは少し前から噂的に流れてきていて、意味の分からなさに何かのネタかと思ってましたが。。

こんな記事が出ておりました。
メルカリで現金が大量出品される カード枠の現金化需要が要因か

・・・なるほど、カードで「現金を買う」と、カード枠で現金が手に入ると。
で、メルカリさんサイトで「現金 紙幣」で検索すると確かに一杯でてきますね~。
しかも結構売れてる。2万円が23,700円とか、10万円が118,000円とか。

(これ確認したいがためにわざわざアカウント登録しましたよと。。)

メルカリ現金
しかし2万円を23,700円で買うということは、実質的に18.5%の利率ですよ。しかもカード決済するなら基本一か月で。そしてどの出品もぎりぎり20%近くで値付けされてます。はじめは出資法上限金利(10万円以下は20%)を意識してるのかな?と思ってたんですけど、そっちは年利ですからね。とんでもない暴利です。

で、ふと思ったわけです。「これって手形割引に似とるな~。。実際のところ貸金じゃね?」

というわけで、貸金業法をみてみました。
(定義)
第二条   この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。

手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付」というところに照らすと、「現金の売買」という形式を装った取引がどのような類型の権利譲渡となるのか定義が難しいですが、売買というのは等価交換が基本原則であって、現金をその価値以上の対価でもって渡すのは「類する方法による金銭の交付」 と考えるのが妥当かと思われます。

あと、「業として行う」という点は、「反復継続する意思をもって行う」ことが要件になるので、少なくとも複数出品してればあてはめは可能です。

ちなみに、上記のような法的リスクを十分認識してるからだと思うんですが、多くの案件が「旧札」をうたってるんですよね。あくまでも「古銭」の売買であると。しかし、一般的な古銭商にもちこんでもプレミアがつかない旧札にこれほどの対価を要求するのは、古銭の売買を装ったお金の貸付行為と解釈することは可能かと思われます。(実際のところ本当に旧札を送ってるかも怪しいですが。)


というわけで、メルカリでの「現金売買」は、貸金業の無登録営業および出資法上の上限金利違反にあたる蓋然性が高いと思われます。ちなみに出資法では、仮に業認定されなくても個人間の金銭貸付けとみなされたら、月18.5%の金利は「五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」(及び併科)ですよと。


(高金利の処罰)
第五条   金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2  前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3  前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

さらに、貸金業の無登録営業となると貸金業法第11条違反で、罰則は「十 年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金」(及び併科)です。重罪ですねw。「おれもやってみよ♪」みたいなノリで無自覚にやってる方はさっさとやめることをおススメします。

ちなみに、出資法の裏側には消費者側を守る「利息制限法」というものもあり、こちらでも上限金利を超えたものは無効ですよ、と定められてます。

(利息の制限)
第一条   金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一  元本の額が十万円未満の場合 年二割
二  元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三  元本の額が百万円以上の場合 年一割五分

というわけで、メルカリで残念にも現金を買ってしまった方は、「あれは実質的に借り入れであり、年20%を超える利子分は無効だから払わない」とクレジットカード会社に言ってみたら面白いんじゃないかと思いますよ笑。

最後にメルカリさん、さっさと現金売買は禁止にされるが良いかと。 



追記(2017/4/24 16:30)
メルカリさんも早速手を打たれてるようで、下記記事中では「現行紙幣」とされていますが、昨日は結構残っていた「旧札」をうたっていたものもガンガン削除されてる模様。

メルカリ、「現金出品」に対策 現行紙幣の出品を禁止
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/24/news093.html

でも伊藤博文千円札とか聖徳太子一万円札とか、確かにかなり古いけど一応まだそれ使える有効紙幣ですよってのが微妙に残ってて、一部は連番レアもの(?)とかってものわかるけど、そこはスパッと貨幣関係は一律禁止にしたほうがよくない?と中途半端さを感じるなど。。

追記(2017/4/26 9:00)

金融庁さんもお怒りの模様。。

ネット上に現金出品 違法のおそれあり 金融庁が対応検討

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170425/k10010961091000.html

25日の衆議院の財務金融委員会で、金融庁の遠藤監督局長は「現金をオークションなどに出して取り引きすることは、出品者が貸金業に、ネットオークションの事業者は貸金業の媒介にあたるおそれがある。貸金業の登録を取っていない場合は法律違反で刑事罰の対象となる」と述べ、・・・

メルカリが「貸金業の媒介」にあたるというのは、条文的に可能性あるかなと当初思いつつ、記事書くとき調べてみたら下記のような解釈資料を見つけたので、この考え方からするとちょっと遠いな~と思っていたわけですが、金融監督局長が上記の国会答弁にいたったというのは相当カリカリきてるんだろうなと感じる次第。(でもやっぱそれは苦しくない?)

貸金業法における「金銭の貸借の媒介」について
http://www.nbfa.jp/20160915.pdf


追記(2017/11/16) 

記事から半年以上たって実際に逮捕者がでたとの報道。

メルカリに額面以上の価格で現金出品した疑い、4人逮捕

http://www.asahi.com/articles/ASKCJ3RD0KCJULZU005.html

僕、いいましたよね?



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