hoikujo_taikijidou

先日、こんなマンガが少し話題になってなってました。

【待機児童問題】保育園落ちた!ママさん達の声を聞いてみた

http://gikai.me/page_1908


これに対し、「認可落ちてから認可外当たるなんて事前調査が足りない。認可外なら先着順だから先に抑えておくべき。」とか、「認可保育所はそもそも福祉施設なのだから低所得者向けであり、それなりの収入ある人間がそこに頼ろうとするのは間違い」などとの批判的な反応も色々あったようで。



それはそれで一利も一理もある話ではあるのですが、やっぱり制度論として現実的矛盾を感じるので、4年ぶり(※)にあらためて認可保育所制度について書くことにしました。


※「保育園にこそバウチャーを ~健全な民営化議論 ~ 」というシリーズで、一度待機児童問題と解決策について書いてます。

http://gogotomo.ldblog.jp/archives/24992853.html



その時にも書いてるのですけど、結論から言うと認可保育所ってのは足りる足りないではなく、もはや制度がオカシイんですよ。


認可保育所というのはそもそも児童福祉法に根拠を持つ施設なのですが、「保育に欠ける乳児または幼児を(親にかわって行政が)保育する施設」であり、法律の第24条では、「市町村は、...保護者の労働又は疾病その他の事由により、その監護すべき乳児、幼児その他の児童について保育を必要とする場合において...当該児童を保育所 において保育しなければならない。」と定めています。


つまり、要件に当てはまれば市町村としては保育を行う責務があり、そのことは厚生労働省の資料でも明示されています。


保育所利用の仕組み

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0520-6c_0008.pdf


そして、この資料の中では、保育所の入所基準として、旧政令に定める要件も書かれてまして(現在は上記の法24条に規定が吸収された形となり、ここにある政令27条は削除されていますが、趣旨は変わっていません)、そのなかの最初の要件として、「昼間労働することを常態としていること。」とされています。


なので、法律を文字通り解釈すれば、昼間働いていて子どもの面倒を見られないのであれば、親の収入などに関わらず行政として保育所に入所させる責務があるわけです。


とはいえ、より詳細な基準を市町村独自で設けるということはあるわけで、そうした基準に照らして「保育に欠けるか否か」を判定し、保育所入所不承諾と決定をするならばそれはそれで理にかなってはいます。


しかし、現状における「保育所入所不承諾通知」は「保育に欠けるものではない」との判断とは言えず、単にキャパオーバーで優先順位的に受け入れられませんとの連絡でしかなく、市町村としての果たされない責務は残っているわけです。


そのあたりの制度的整合性に気を使ってか昨年一通の通知が厚生労働省から出されており、従来「不承諾通知」としていたものを「保留通知」と変更する旨の連絡がなされています。(通知においてはその理由を「保護者の心情等に配慮するため」としていますが。。)


保育所入所不承諾通知書の名称変更について(厚生労働省通知 平成28年8月31日)

http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280831/meisyou_henkou.pdf


ということは、本来行政として受け入れる責務のある認可保育所に入れられず、結果的に保護者が認可外の保育サービスを利用することで追加的コストが発生した場合、現行法の純粋な解釈から言えばそれは行政として負担すべきものです。



さてしかし、個人的には「だから行政は認可保育所を全員が入れるまで増やすなり、入れない人のコストを肩代わりしろ」と言いたいワケではありません。


冒頭の批判にもあったとおり、認可保育所はもともと福祉目的の行政措置のために置かれたものであり、「昼間労働することを常態としていること」とされていた要件は、専業主婦が当たり前の時代背景において「両親ともに働きにでないと家計を支えられない家庭」が福祉的支援を行うべき対象と置かれていたと言ってほぼ間違いありません。


もしこうした措置行政の名残としての認可保育所制度を続けるのであれば、所得基準なりを明確化し、そこから外れるものは定員に関係なく対象外として利用者を絞るべきです。それがいつの間にか一般サービス化し、本来の目的から外れて野放図に税金が投入されるのは、騒音問題なんかよりもよっぽど問題視されてしかるべきです。


じゃあ普通の収入がある家庭はほっとけ、と言いたいわけでもなく、結論としては4年前に書いたバウチャー制度をやればいいと思っています。

http://gogotomo.ldblog.jp/archives/25191453.html



かなり長々と書いてきましたが、いまの認可保育所制度がいかに矛盾しているのかをまず示したうえで、根本的な制度見直しが必要であることをハッキリと理解してほしいというのが今回の趣旨です。


本来は福祉制度として始まった公的支援の度合いが強い認可保育所が、なし崩しに一般家庭にも利用されるようになった結果、不合理な不平等が発生しているというのが保活問題の真相であり、認可保育所が足りない・だからもっと増やせというのは間違った前提の上の間違った問題認識だと思います。


男女関わらず仕事を持ち働き続けることは個人の観点からも社会的観点からも重要であり、保育の受け皿を拡大することは必要だと思いますが、保育士にまともな給料も払えないようなサービスを拡大することが正しい道筋だとは思いません。福祉として本当に手厚く補助するべき層は絞り、それ以外には公平な応能負担で(財政が限られているならば)薄く広く補助を入れるのがスジなんじゃないでしょうか?


その意味では、繰り返しになりますが基本的には保育サービスをもっと市場原理に沿ったものに変えていくのが1番の解決策だと思います。制度を抜本的に見直すとなると既得権者的な社会福祉法人や安く保育所に入れらている親からの抵抗は強いとは予想しますが、答えはほぼ見えてるんだから、厚生労働省さんにはいい加減ちゃんと仕事して欲しいと思うところです。


ということなので、待機児童問題について文句ある方は、市町村ではなく霞ヶ関に向かって石を投げてくださいね。よろしくお願いします。



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