年明け以来の久々のゴゴログですが、ムダな前フリは省略して。。。

先月29日、安倍総理が米国両院議会で、国際的安全保障分野における自衛隊の役割強化、すなわち集団的自衛行動に向けた関連法制の実現についてコミットしたことは、こうした演説の内容としては素晴らしいことだったと思います。美辞麗句を並べるだけで、何の具体的コミットメントもない演説はほとんど価値がないし、相手からのリスペクトも得られないのだから、ああした踏み込んだ発言をすることは演説としては非常に有意義であるでしょう。

特に、中国がAIIBでアグレッシブな動きをし、そこに第一の盟友であるはずのイギリスがのっかることで心穏やかでないはずのアメリカに対して、ゆるぎないパートナーシップをアピールした今回の演説は、総理の英語がどうのこうの言う向きもあるようですけど、内容的にはよく練られた、時宜を得た素晴らしいものであったと評価できるものと思います。

(安倍総理の演説内容全文はこちらに。
いつか将来振り返った時に、日本の外交戦略について大きな方針をつけた歴史的演説と評されるものと思われます。必読。)


しかしながら、演説に実があって素晴らしかったが故に、同時になかなか大きな問題をはらむものではないかなあと感じました。

個人的には、日本がアジアにおける安全保障でより積極的な役割を担い、そのために集団的自衛行動を許容するという方向性には異論はありません。しかしながら、今回の演説における力強いコミットメントついては、同時に防衛関連予算の増大に対する約束とアメリカから期待されて当然でしょう。カネなくして、いまより大きな役割をカバーすることはできません。 

一方、日本の財政状況を見れば、いまさら言うまでもなく容易ならざる状況で、消費税の増税や、傍らで年金や健康保険などの社会保障費用の将来的な削減も避けられないでしょう。こうした中で防衛予算をGDP比1%の枠を超えて増やすとなれば、「防衛予算のために社会保障を切り捨てたのか?」などといった激しい議論が巻き起こり、国内における政治的議論が一層混迷を深めることは間違いないと推測します。 

私自身は軍事防衛分野に知見があるわけではないので、今回明確なコミットをしなければならないほど、アジアをめぐる情勢はそれほど緊迫しているのかもしれませんが、勝手な素人意見を言えば、防衛分野における議論は水面下でまさに「粛々と」を準備しておいて、先に社会保障制度改革に目鼻をつけに行くほうが良かったのではないかと思うところです。 

いずれにせよ、言ってしまったことはとりかえせないので、これからの国際・国内政治が今回の演説でどう影響を受けていくか、関心を持ってみていきたと思います。