今回の記事を書くにあたって、まず最初にいっておきたいことがある。日銀よ、総裁記者会見録ぐらい即日アップしとけ!ソースとしてもっとも重要な情報なので、確認しようと日銀のページを漁ったら、公表予定は「11月4日(火)時刻未定」だって。。。歴史的ともいえる重大イベント、徹夜しても即日アップするのが普通の神経じゃないのかねえ。それを連休明けで時刻未定とは、まさにお役所仕事。。(ちなみにコレ書いてる今は11月3日です。)

というワケで、今回は2014年ハロウィンの日に浮かれる日本を襲った、サプライジングな追加量的緩和、いわゆる「黒田バズーカー2」についてでございます。

正直、今回の追加緩和が良いのか悪いのか、私には分かりません。まあ世界の経済学者レベルで見解が分かれるであろう金融政策について、法学部時代に楽勝単位を稼ぐためにしか経済学を修めてないゴゴがいいの悪いの言ったところで意味はないわけですが、世の中賛否両論うずまいているようで。

・黒田総裁は天才かつ秀才だが、間違っている
・小幡績氏は天才でも秀才でもないし、間違っている 

(上記引用はどうでもいいネット上でのから騒ぎを笑うためなので、真面目に読んでもらう必要はありませんww)


しかし、結局のところ賛というにせよ否というにせよ、何をもってそう主張しているのがイマイチ分かりにくいのは、 日本のマスコミの仕事っぷりからすると、一般的なニュースをいくら見てもおそらく同じでしょう。そこで何が分からないのかを明確にしましょう!というのが今回のゴゴログの目的です。


そもそも、現在行われている「金融緩和」とは一体何なのか?ですが、詳細なところはこちらの「教えて!にちぎん」というコーナーの結局は目的の良くわからない説明を見ていただくことにして、つまるところは「期待インフレ率」の上昇を促すことによって、企業や家計の投資・消費行動に刺激をあたえ、デフレからの脱却を図ることを目的とした金融政策ですね。要するに、将来の物価は上がるよ、カネを貯めこんで使わずにいると損するよ、いますぐカネ使えよ!という狙いです。 

この期待インフレ率の上昇を促すことで、ゼロ金利でも解決できないデフレスパイラルからの脱却を図ればいいじゃん!というのは、一般人でも名前を耳にしたことがあるであろうポール・クルーグマン教授が提唱した理論です。しかしながら、この理論の現実的実効性については反対を唱える学者もおり、必ずしも評価が確立した政策手法ではありません。それゆえ、賛否両論が激しくわかれるようです。 

(このへん真面目に勉強したいかたは、吉川洋東大教授の「デフレーション」などおススメです。数式モデルを理解できなくても、主張のエッセンスは十分理解できます。) 

ちなみに最近、ノーベル賞経済学者が日本に謝罪したということで、これまたその真意を色々解説している向きもあるようですが、自分が提唱した理論を忠実に遂行している日本を持ち上げるという、いわゆる一つのポジショントークですね。間違っても「やっぱ日本スゲー!」などと勘違いしてはいけません。 






で、やっとここからが本題。今回の追加緩和について、ゴゴがきちんと知りたいことは以下の3点です。 

まず、最初の疑問は、今回の追加緩和策を発端に、どのような波及経路をたどって「期待インフレ率」が上昇すると考えているかのか?ということです。一つの考え得る答えは、日米の金利格差拡大による円安により、輸入価格が上昇してコストプッシュインフレが起こる、ということです。 

今回の追加緩和決定の背景説明においては、原油価格の下落による物価影響が語られているようですが、しかしながらそれはあくまでも背景説明であって、まさか上記のような円安からの単純なコストプッシュインフレをもって日本経済の活性化につながるなんて日銀様が考えてるワケないですよね?さすがにそんなアホではないと信じております。 

なので、単なる円安誘導ではなく、企業の投資行動や家計の消費行動が、具体的にどのように活発化することを想定して、モノやカネへの需要の高まりを通じて物価が上昇するという本来の望ましいインフレが実現すると考えているのか?ということの具体的想定を聞きたいところです。 


次の疑問は、仮に今回の追加緩和による期待インフレ率の上昇が成功したとして、その政策効果の持続期間はどれほどと考えているのか?ということです。構造改革なんか関係ねー、金融政策が全てを解決するぜ!という狂信的なリフレ論者ではない限り、追加緩和政策には賞味期限があり、その間に経済・産業構造が改善されない限りは、持続的な経済成長を実現することはできないという見方には誰しもが賛同すると思います。 

つまり、今回の「異次元緩和」によって、構造改革のための時間はどれくらい稼げると考えているのか?という点は聞きたいところです。もちろん、日銀側がバカ正直に答えることはないでしょうが、すくなくとも質問側にはこの点鋭くツッコんで、何らかの認識は引き出しておいてほしいですね。 


そして最後の疑問、今回の施策のコストと将来リスクはいったい何でいかほどなのか?ということです。コストについては、円安影響で不利を被る輸入業者および家計がまずありますが、そもそもの日銀の資産買い入れのコストはどこについているのかが、この点勉強不足なゴゴでは分かりません。 

そして、「異次元緩和」ということで何やら大変と反対する気持ちも分からないのではないですが、この施策が将来もたらしうる危険性とは具体的に何なのか?というところがイマイチ明確に分かりません。例えば日本国債への信認低下による価格暴落の危険性というのは観点的には分かるものの、それはいまに始まったことではなく、今回の追加緩和がその可能性をどの程度引き上げるものなのか?など、具体的なリスクを聞きたいところです。 


要するに、一つの選択をするにあたり、①その効果、②成功可能性、③コスト/リスク、という、通常なんらかの投資をするにあたってアタリマエな事柄を聞きたいだけなんですが、政策の背景理論が学術的にも高度な議論があるためか、そうした引いてみた時の「本質」がイマイチ議論されていないところが非常に残念であります。 

今後、「黒田バズーカ2ー」に対して賛否を論じる方は、以上の視点を踏まえてご説明いただければ幸いです。