「セレンディピティ」という言葉を聞いたことってありますか?「偶然をうまく機会ととらえることによる成功」あるいは、「幸運をつかみとる能力」(by Wikipedia)みたいなイメージで、まあそういうことってあるよな~と感じつつも、個人的にはいまいち掴みきれない概念でした。

今日たまたま、日経ビジネス・オンラインの記事、「セレンディピティとイノベーション」を読み、セレンディピティの源泉は、哲学的思考力なのだ、ということがアタマの中でつながり、やっとこの概念の持つ意味が腹に落ちて分かったので、今回は、偶然的な発見・成功と哲学的思考力がどうつながっているのかについて、できたてほやほやの個人的理解をお話しします。

「セレンディピティとイノベーション」(日経ビジネス・オンライン記事。閲覧には無料会員登録が必要です。)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131001/254080/ 


ここで紹介されている話では、道路の白線用に使われる、とある高価な物質の代替品の開発検討をする中で、化学物質の専門家ではない参加メンバー(女性バレリーナ)が雪が降ってくるのを見たことをきっかけに、技術開発の方向がまったく当初の想定外の方向で進んでいく、というエピソードが紹介されています。 ちょっと出来すぎな話のようにも感じられますが、「雪は結晶が光を乱反射するから白く見える」という小話をきっかけに、開発検討のスコープが広がっていったことが示されています。

このエピソードを読んでゴゴが理解したことは、セレンディピティの発現は、単に偶然をうまくとらえるといった神秘的なことではなく、自らが探究している課題と、一見そこにつながらない物事(偶然の出来事)との間の、本質部分における共通性を感じ取れるかどうかにかかっているのだ、ということです。逆に言えば、自ら抱える課題の本質の姿を捉える力がなければ、セレンディピティは発現しない、と言えます。

こうしたモノゴトの根源的な本質を掘り下げる能力というのは、「哲学的思考力」に密接につながっていると思います。これまでも何度かゴゴログ内で触れていますが、一般に「実用的でない」と思われている哲学とその思考法とは、哲学とは昔の偉い人が言った小難しい概念を覚えて理解することではなく、自らが対峙している事象や課題の表層をはぎ取った「本質の姿」は何か?を掘り下げる学問・行為です。そして今回、こうした思考力こそ、偶然の出会いを含めた様々なモノゴトを、イノベーションやクリエイティブな思考へとつなげる重要なカギだと、一つ理解が進んだように思います。 

あらためてまとめを書くと、「セレンディピティを得るには、哲学的思考力が欠かせない」、ということです。


ちなみに上記の記事の中で、「『理論は経験から帰納的に出てくる』というのは間違い」というフレーズが出てくるのですが、個人的な「アンチ・ロジック一辺倒」主義と重なって、非常に脳ミソに刺さりました。新規ビジネスの可能性を、データとロジックの積み上げのみで実証を求められて苦しんでいる、感性派の方々に捧げたく思います。(笑)


(参考)哲学・哲学的思考に触れた過去記事。
「本質を創造的に考えるための脳みその使い方」
「大学に行って何の役に立つのか(その3)」