税制ネタ続きでスミマセン。消費税増税について、友人とFB上で議論になった話がそのままにしておくのがもったいなかったので、こちらに残しておきます。ちなみに、ゴゴは消費増税に賛成、友人Kはこのタイミングでの消費税増税に反対、という立場で、消費税増税を判断する「18条条項」を巡っての議論の一部です。

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(友人K)
財政均衡しないと国債暴落ってずっと言われていますが、アベノミクスで大幅金融緩和=財政均衡しない政策しても金利は上がらず、景気も回復傾向な訳です。やっぱり財政均衡よりデフレ対策が先、というのが正解かと思います。

CPIがプラスといっても、原発停止で燃料費が増えてのCPI(ゴゴ注:消費者経済指数のこと。いわゆる物価水準のこと)上昇であって、コアコアCPI(ゴゴ注:市況での変動が大きい生鮮食料品とエネルギー関連消費を除いたCPI)はまだマイナスの状態に増税してたら18条の意味なしでしょう。

(ゴゴ)
K、コアコアとか見てんの?マニアックだねえ。
おっしゃる通り、18条解釈として現状をどう見るかは判断の分かれ目だと思うよ。

ちなみに、個人判断としては、

・コアコアは依然マイナスだけど、足元の回復は続いている


・増税はCPIを一時的に下げる影響はあるけど、回復へのベクトルには影響しない。(マクロ経済学的には、水準効果はあるが成長効果には影響しない、という考え方。)


・アベノミクスは経済成長への実態がなく、どのみち長続きしないので、この機会を逃すと増税タイミングを失う可能性が高い。


え、先行き不透明なのにここで増税でいいの?って思うだろうけど、長期的な経済低迷のトレンドの中で、どこかではやるしかないと思ってるので、そもそも個人的考えではデフレ傾向かどうかは関係ないのよね。上でも言ったように、税率は水準効果しかもたないので。
(もし成長効果に影響するならば、税率の低い国ほど経済成長率が高いはずだけど、そんなワケないよね。)
 
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このやりとりを残したかったのは、赤字部分の「水準効果と成長効果」 という概念をふと思い出したからです。 

役所時代、「何が経済成長をもたらすのか?」という、仕事柄当然な関心をもって手にとったのが、
・経済成長理論入門

経済成長理論入門―新古典派から内生的成長理論へ
チャールズ・I. ジョーンズ
日本経済新聞社
1999-09


という本でした。この本、数式もあるにはあるのですが、そもそもがなるべく数式的表現を排除して、経済成長に関する理論を分かりやすく伝えることを目的として書かれているので、数式部分を読み飛ばしても理解できて、かつ知的刺激を受けられる良書です。

技術水準や教育水準、イノベーションが、なぜ・どのよう経済成長につながるのかといった、感覚的には分かるけど理屈的には知らない話や、政府による経済政策の効果と限界といった内容についてきちんと説明されており、マクロ経済的なものに対する見方・考え方について、ゴゴ自身の大きな土台になっています。
 

で、 ブログ書くにあたって多分
10数年ぶりに本棚から手にとったのですが、「水準効果と成長効果」って、まとまった記述は少なくて、本の端々にでてくるくらいなんですね。それでも、ある要素や政策が、
 経済成長に対して持続的な効果をもたらすのか(=成長効果)、
 経済水準を上げるものの成長持続効果はないか(=水準効果)、
という概念の違いが成長理論の中での問題意識として伝わってくるもので、当時、そうした概念の違いを知ったことや、問題意識そのものが自分の中に結構刺さっていたのだと思います。

仕事も変わって使うこともないのに、ふとした瞬間にこんなワードが自然と思い出されるのって、不思議なものですね。

ちなみに、この本を久々に開いて最初に飛び込んできた一文、1999年3月付の、原著者チャールズ・I・ジョーンズによる日本語版への序文-
「・・・過去50年間の日本経済のパフォーマンスは、経済成長の最も目を見張る歴史的偉業の一つであった。(略)

それにも拘わらず、この例外的な成長が鈍化するのは、予測できることである。この成長を終わりに導く力が自然と働くと見通すことは、現代成長理論の偉大な成果の一つである。(略)」 

15年後の今、これをどう受け止めたら良いのか戸惑いますが、なんとも不思議な感慨を覚えます。。。
何ともしまりがつかない終わり方ですが、今回は、これにて。