5月3日の憲法記念日を過ぎて、少し旬をはずしてますが、今回のゴゴログは、最近話題の改憲論についてです。

直近の焦点は、96条の改正プロセスについてですが、ゴゴ個人としては、改正成立には国民投票有権者の過半数の賛成が必要という要件が維持されるなら、発議要件が2/3だろうが1/2だろうが、どっちゃでもいいと思ってます。

本当に考えるべきなのは、今の憲法によって、国として出来ないとされていることは何であり、それをどうしたいのか?ということに尽きると思います。ちなみに、ゴゴの結論を先に言っておくと、憲法変えないとできないことなんて、特にないんじゃないの、です。

日本国憲法というのは、結構抽象度を上げた記述になっており、実質的な内容は、下位法規である各種法令に委任する形になっています。その上で、仮に各種法令や具体的な行政行為が憲法の「趣旨」に違反する場合には、それは無効になりますよ、という形で国権の無制限な発動を抑止する構造です。

(参考:日本国憲法第98条)
第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

なので、ある法律案や具体的な政府の行動が検討されていて、それが現行憲法では第何条に違反することになる、だから憲法を変えないといけない、という議論なら分かりますが、特にそうした話を聞くことはありません。国の形を大きく変える道州制でさえ、現行憲法下でそのまま実現可能なくらい、柔軟な構成なのです。

特に具体的な論点がない中で憲法の条文をいじりにいく、しかもその理由が敗戦でアメリカから押し付けられただの、前文が気に食わないからだのといったハナシは、滑稽極まりない、暇も極まるものだと、ゴゴは考えています。それで何か具体的な問題が発生してるんですかね?


ところで。。少し話が飛びますが、前回安倍政権の時に、とある法律をめぐって似たような議論があったのを覚えていますか?

2006年に、戦後初めてとなる教育基本法改正が行われました。その時の改正議論の背景と今回の改憲論の背景は、非常に似通っています。愛国心を盛り込めとか、賛否色々ありましたが、改正されて今に至っています。そして7年、教育の何が変わったのか?教育基本法では、以下のような条文が最後にあります。

(教育基本法第18条)
第十八条 この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。

つまり、基本法を変えただけでは何も変わらず、関連法令や新基本法に基づいた行政運営を実際に行わない限り何も変わらないのは、条文通り自明のことですが、結局その後、関連法令の整備も行われず、大騒ぎした割には教育の実体は何も変わっていないように思われます。

(参考)
教育基本法の新旧対照表

教育基本法改正で何が変わった?(ネットQAサイトでの問答)


96条を変えた後に、どのような実質の改憲を考えているかの提示をするべきとの慎重意見は常識的なラインではありますが、もっと端的に、実質改憲の先に想定する関連法制の整備として何かあるのか?と聞くのがスジでありましょう。
(そういう質問をマスコミ記者の方にはお願いしたいところ。そうすりゃ、某大臣にバカにされることもなくなるかと。)

さらに言えば、中身のない改憲論にで政治的混乱リスクが高くて実利の薄い議論をするよりも、明確かつ重大なリスクである年金医療費対策と少子化対策、そして成長戦略の具現化に努めるのがこれまたスジ、とゴゴは思っています。

夏の参院選、だれが改憲論を声高に叫ぶのか、逆に楽しみですね。。笑