保育園制度にまつわる問題の本質を探るテーマの2回目です。

前回、 保育園というのは、基本的に公共サービスとして行われているのではなく、「保育に欠ける子」を、個人に変わって行政が保育する「行政措置」なのだ、という話をしました。その結果、現代社会の、主に働く女性のニーズにあわない制度・運営になっている、ということなのですが、まずは、保育園というのは、どのように運営されているのでしょうか・・・?


まず、「認可」「無認可」なんてよく聞きますが、「認可」保育園が、行政措置として行われているものです。それ以外は、基本的に「認可外」となるのですが、東京都は独自に、現代ニーズに合った公共サービスの考え方に基づいて、「認証保育園」という制度を運用しています。

具体的な違いはさておき、ここでは認可・認証(東京都)・その他無認可という違いがあるのだ、ということだけ頭に入れておいてもらえればOKです。
 ※参考:認可と認証の違い (とうきょう福祉ナビゲーションのページ) 

で、認可・認証・その他無認可の保育園の運営は、どうなっているのか?基本的に、認可に補助が手厚く、無認可は補助とか無いんだろうと予測はしていましたが、実情わからないので、グーグル先生にお願いしたら・・・個人の方のブログですが、いいものがありましたので、勝手ながら少し抜粋して引用させていただきます。
 ・ 認可・認証・無認可保育園のそれぞれの保育料と運営費について(保育園運営に関わるの方のブログ)   

例)零歳児を9人預かる場合

認可保育園
・運営費 3300万 人件費 2650万
・職員数 保育士3人 看護師 栄養士 調理師 嘱託医
・保育士年収 500万計算
・月額保育料 305,000円
(現在は1~2割負担:約3〜6万円)

認証保育所
・運営費 1700万 人件費 1350万
・職員数 保育従事職員3人 調理師 嘱託医
・保育士従事職員年収 300万計算
・月額保育料 156,000円
(現在は3~4割負担:約5〜6万円)

無認可保育所
・運営費 1080万 人件費 860万
・職員数 職員2人
・職員年収 300万計算
・月額保育料 100,000円

(以上、抜粋引用)

これ、見てどう思いました?まず、人手のかかる0歳時の例ではあるものの、認可レベルで保育しようとすると、実額コストで30万円かかる、ということに驚きです。そこまでのサービスレベルが必要なのか?という議論はあるかもしれませんが、いずれにしても保育にはカネがかかる、といことです。

さて、ここからが問題の本質なのですが、上記の比較をあらためて見ると、職員の数や、前提年収から推定する職員の質、あと、ここでは出てきませんが、園庭の広さほかの施設の充実ぶりなど、 保育サービスが充実しているほど、個人の利用負担額は低い、という逆転現象がおこっています。
(個人の事業者では、無認可でも善意で頑張っているところも沢山あると思いますが、一般論としては、やはり差が出るものだと思います。)

ここに、待機児童を生みだす構造があります。だれしも、安い上に質もよいなら、そっちがいいですよね。だから、ママさん方は認可保育園に待機するのです。そして、これは認可外の事業者側にも問題を引き起こしています。

「競合」の認可保育園の方が、安くて人気がある、自分のところは補助もない/少ないので、いくらおカネがかかるといっても、あまりに高い保育料では誰も来てくれなくなるから、料金の限界がある。(しかも認証保育園は月額利用料の上限あり。) なので、経営も成り立ちにくいし、当然保育士の給料だって、たいして払えない・・・

こんな業界に参入してくる事業者や、定着して働いてくれる人材は、そうはいないでしょう。結果、認可外でもサービス供給量や人材が不足します。すると今度はそれがまた巡って、ママさん方にとっても、認可をあきらめて認証にしようにもそう選べる園もない、下手すると認証も順番待ち、入れてもどこか不満で認可の待機を続ける、ということに状況を生みだし、より待機児童問題が深刻になるのです。

これこそ、「行政措置」として保育園制度を運用していることの問題です。措置として行なう認可保育園の運営に財政リソースが偏っており、利用者のニーズに応じた適切なリソース配分が妨げられている結果、需要と供給をうまくマッチングさせたりバランスさせるメカニズムが働いていない構造である、と言えます。

じゃあどうすればいいのか?というところですが、そこは次回最終回にて。

(つづく)